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いまどんな人が何を感じているか
Withコロナ、Afterコロナ、など、今後のことに関する情報が大分増えてきました。多くの情報で共通している話が、デジタル化の加速、リモートワーク(在宅勤務)の増加ですが、実際に働いている人たちに、デジタル化と在宅勤務以外にどのような影響がでているかを聞いてみました。ゴールデンウイーク以降、約1か月で20社以上の人事や研修受講者の方にお話を聞いた内容と私が感じたことを紹介させていただきます。
まず全員共通していたのが“模索中”という状況。模索している内容は人さまざまでしたが、お話を聞いた皆さんほぼ全員が、今までの働き方や業務の進め方がこのままでいいのか、どのように変えるべきなのか、を模索していました。
営業、製造/購買の担当者などはCOVID-19が、自分の目標・業績に直接影響を及ぼし、いまだに顧客、調達先、工場で働く社員、の状況を見ながら今後どのように業務を進めていけるのか模索しているお話を聞きました。数名の方たちから聞いた具体的な話では、初めての状況が多すぎて何が正しい顧客対応なのかが分からず不安、自分の今後のキャリアがどうなるのか不安、はたまた、するべき業務ができない状況で他に何もすることがなくどうしたらいいかわからない、などの話がありました。
管理職の方になると、チームや部下の目標/部下の評価方法は今まで通りでいいのか、在宅勤務がつづくとチーム内に情報格差ができてしまうのでは、チームの状態をどのように把握すればいいかわからない、部下のストレス状況が心配、などが、模索しているポイントになるようです。
人事の方たちですと、今後の働き方/制度をどうするべきか、オンラインでするべきこと/対面で行うべきことの区分けはどうするべきか、今後新たに求められる意識やスキルは何か、自律した社員になってもらうために今できることは何か、などのお話がありました。
また、上記様々な職種の方が模索している中で、違った観点で多く出てきた課題としては、データセキュリティとパソコンや携帯などのデバイスや使用ツールに関することでした。業務を遂行していくこと、セキュリティや使用可能なツールの制約を両立させることが、さらに模索している現状を複雑にしているようです。
このような模索中の状況では、デジタル化、特にオンラインでのコミュニケーションに関して、大きく2種類の傾向が見られました。「オンラインならでは」という観点でコミュニケーション方法を模索し考える人、また「今までの内容・やり方」を前提にコミュニケーションをオンライン化する方法を検討する人、この2種類の傾向です。
環境の変化への対応
このようなお話を聞いていて一番印象に残ったのが、今までにないようなスピードで多くの方が変化に対応している、ということでした。チェンジマネジメントのプログラムで紹介するScott&Jaffeのフレームワークでは、変化に直面した時に多くの人は“Denial/拒否”、“Resistance/抵抗”、“Exploration/模索”、“Commitment/コミットする”のステージを通って、変化に対応していくといわれています。
この数か月で多くのビジネスパーソンが今までの働き方を変えて、在宅勤務、オンラインでのミーティング、ましてやオンライン飲み会まで、行う、という変化へ対応しました。今回のCOVID-19 に起因する変化に対しては、“拒否”と“抵抗”のステージを一瞬で通り過ぎ、多くの方がすでに“模索”と“コミットする”ステージにおり、新しい働き方を見つけるため為に様々なことに取り組み始めていました。
しかしながら、今まで対応してきたことは、氷山に例えると水面上に見えている部分の変化への対応でした。この変化の影響は、水面下にある氷山で目に見えない部分、人の持つ価値観、考え、志向、思い込み、などの変化を強要していきます。
4月以降、様々なテレビ特番、書籍や雑誌などで、ノーベル賞を受賞した専門家からジャーナリストなど様々な方のWithコロナ、Afterコロナの話が出てきましたが、人間の価値観や考えに該当する水面下の氷山の部分の変化に関しては、誰も確かなことは分からず、ただ唯一共通していたことは、「今までと全く同じ状況のままではない」ということでした。
この見えない部分が今後変化してく中で、その変化への対応のスピードはどうなるでしょうか。水面上にある氷山の変化に対応したスピードよりは、はるかに時間がかかるのは間違いないですが、どれだけ早く対応できるかで、本当の意味でのニューノーマルな働き方になるのではないでしょうか。
ニューノーマルな働き方になるまでは、新しい働き方に対する好みや考え方の違いが顕在化させられず誤解を招き対立を引き起こす、または、顕在化されても好みや考えの違いを統合できず対立することが今後増えるのではないでしょうか。
例えば、オンラインでのコミュニケーションに対して、「なんでもできる」と感じている人と、「やっぱり対面じゃないと最後は・・・」と感じている人、好みの違いでもあり、実際にコミュニケーションに含まれる情報量(非言語含め)の違いもある。もしこの違いが採用面接の方法を決めていく場で現れたら、いつまでも正解が見いだせない状況になります。
このように前例がなく、正解がわからないことが増えてくる状況を牽引していくリーダーには、インクルーシブなスタイル、すなわち、多様な価値観や考えを統合し共通の目標を作り、皆をエンゲージしていくような能力が今まで以上に求められるのではないでしょうか。
採用面接の例に戻ると、インクルーシブなリーダーだったらこのような対応をするのではないでしょうか。顕在化した2つの好み・考え方の違いを統合する為に、まず、採用面接の目的と機能、また、それぞれの思う採用面接の“べき論”とその背景を全員と共有し、それぞれの共通するところを探し、それをビジョンとして設定します。そのビジョンを達成するための方法を、関係者からアイディアを引き出し、アイディアとアイディアを統合しながら方法を見つけていきます。そして、最終的には、1次面接では経験やスキルの確認中心にオンライン面接で試行する済す。雰囲気や組織へのフィット感は近場の応募者は対面の2次面接で、遠方にいる候補者に関しては、対面・オンライン面接でなく雰囲気やフィット感を確認できる方法を探し作成することで対応することになるでしょう。
インクルーシブなリーダーは、このような話を進めやすい状況づくりをするのが一番重要な役割で、その他の、意見を引き出す、まとめる、などのファシリテーションは、チームメンバーの強みを活かしながら役割を割り振りながら進めます。
このようなリーダーとチームが、VUCA、TUNA*の時代に、現場でイノベーションを生み出して、水面上と水面下、両方の氷山の変化にいち早く対応していく組織を作っていくのではないでしょうか。
*VUCA、TUNAについては、「リモートで信頼関係を構築するためのファーストステップ 不確実性の高い環境下で必要なこと」で触れておりますので、あわせてご覧ください。
最後に
お時間をいただき、お話を聞かせていただいた皆様には心より感謝申し上げます。皆様から聞かせていただいた情報や考えなど、少しでも他の方のお役に立てるように活用させていただきました。また、皆様が少しでも“模索中”の状況から早く抜け出し、イノベーションを牽引するようなチームの状態になられることを願っております。
お問い合わせ:https://www.quintegral.co.jp/contact/
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