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フィードバックによりセルフアウェアネス(自己認識)とエンゲージメントを高める

engagement

 

エンゲージメントとは?
Engagement(エンゲージメント)はHRの中で頻繁に使われる言葉ですが、結婚の約束を交わす際の「婚約」から発しています。転じて、社員がその企業・組織にどれくらい愛着を持っているかといった、社員と企業との距離感を表す言葉として用いられています。エンゲージメントが高い・強い社員は、生産性が高く、組織に良い結果をもたらすために自発的で特別な努力を行うことを厭いません。これは当然といえるかもしれません。あたかも、相思相愛の恋愛関係にいるカップルのようです。反対にエンゲージメントが低い・弱い社員は、組織に対しての愛着が弱くあるいはなく、不平不満を抱えているため、生産性と意欲の低下が目立ち、その結果としての望ましくない企業業績につながっているといわれています。まさしく、いつ終わりが来てもおかしくない冷え切った夫婦のようでもあります。近年、Employee Engagement(エンプロイーエンゲージメント)を高めること、即ち、社員と企業・組織間の弱い関係を強い関係に変容させることは、戦略人事を進める上で大きな課題となってきています。

 

戦略人事の一環:ジョブ型採用
それでは、なぜエンゲージメントの重要性が最近は叫ばれるようになったのでしょうか。理由はいくつかあります。直近の例でいうと、新型コロナウイルスの影響により、多くの企業の業績が低迷したためです。業績低迷により社員の採用人数を縮小しています。余力がないため、可能な限り採用する人の要件を高く設定する傾向にあります。所謂、ジョブ型採用です。ポテンシャル層、未経験人材の採用を凍結・縮小し、その代わりに経営を前進させるためのハイスキル人材、即戦力人材を採用する方針です。しかし、話しはそんなに簡単には行きません。優秀な人材は強い企業に取られてしまいます。力の弱い企業や潤沢なリソースがない企業はどうしたら良いのでしょうか?

 

エンゲージメントを高める
ここで先ほど述べましたエンゲージメントが登場します。ハイスキル人材を採ることができない代わりに、既存の社員の生産性を高める必要があります。そのためには、社員に愛される企業になり、結果、社員のエンゲージメントを高める必要があるのです。あたかも、冷え切った恋愛感情を昔のように熱くするかのごとくです。関係を高めるには、時間の量と質を高めることが重要です。相手(社員)と可能な限りの時間を共にします。しかし、時間が多ければ良いというわけではありません。その人(社員)と共にいる時間の質を高めることも、重要なことです。相手(社員)を大切にしよう、満足度をあげてみようという心根がいるのです。これがないと、相手にきっと見透かされてしまうことでしょう。

 

フィードバックはセルフアウェアネス(自己認識)を高める
エンゲージメントを高める具体的な方策として、何ができるでしょうか。程度に差はあれ、人には誰にでも承認欲求あります。先ずはそれを満たすことが重要です。つまり、見ていることを知らせること、本人に声をかけることです。上司からメンバーへ、メンバーから上司へ、そしてメンバー同士の「フィードバック」が非常に有効です。自分を知るには、自らを知る活動や瞑想なども良いかも知れません。しかし、第3者からの客観的なフィードバックほど、セルフアウェアネス(自己認識)を高めるものはないでしょう。自らの弱みと強みに関しては、案外自覚していないこともあります。それを相手に伝えることで、改善したり、強化したりすることができるようになってきます。正しいセルフアウェアネスを持つことはとても重要です。このことを能楽の祖である世阿弥は「離見の見」と表現しました。つまり、我見(自分の物差し)から離れて、離見・他者の眼差しを通して、自らを客観的にみることです。自分で見えないことが、他者に見えることはよくありますね。また、フィードバックする際には、相手(社員)を大切にしようとする気持ちが欠かせません。相手の成長を心から考えていれば、本人にとっては耳の痛いことでも、伝えることができ、相手にも伝わるものです。誠実なフィードバックが相手のセルフアウェアネスを高めることになります。本人にとって厳しいことでも、誠実であれば、決して恨まれることはありません。

 

フィードバックは承認欲求・自己実現の欲求を満たす
また、フィードバックの量と質が高まることで、相手の承認欲求も満たされます。共に時間を過ごし、誠実なフィードバックがそれを満たすのです。承認欲求が満たされると、次はマズローの欲求5段階説の一番上の段階の「自己実現の欲求」を人は求めるようになります。ここでは、自分の能力を発揮して、自己実現を達成したいという段階です。それが達成できれば、自分自身だけではなく、結果的に企業・組織のために成果を発揮するようになってきます。端的にいうとこうなります。誠実なフィードバックは冒頭で述べた「エンゲージメントが高い・強い社員は、生産性が高く、組織が良い結果を生み出すために自発的で特別な努力を行う」状態に繋がってくるようになります。フィードバックの力は侮ることができません。

 

フィードバック力を伸ばすには?
これから期末のレビューや1on1、そして目標設定面談が始まります。このタイミングは社員のエンゲージメントを高める絶好の機会です。それには上司のフィードバック力が必要不可欠です。フィードバックは自然に上手にできる人もいますが、多くの場合は練習が必要になってきます。特に耳の痛い、厳しいフィードバック、行動変容を促すフィードバックは難易度が上がります。フィードバックも一種のスキルですので、是非、あらゆる手段をもって改善・強化することをお勧めします。多くの企業でコーチング文化が浸透しましたが、弊害が生じているようです。コーチングでは、本人が「答え」を持っていると考えられており、「答え」を本人から質問・傾聴で引き出すアプローチです。私が担当するグローバル企業では、社員から「上司は私の話を傾聴してくれる。しかし、その先の建設的で自身のためになるフィードバックを得ることができない」または、「フィードバックできない上司に不満がある」という声が高まりました。それを解決するために、当社は昨年からオンラインによるフィードバック力向上研修を日本語と英語で提供しています。皆様も経験豊富な講師陣からベストプラクティスを吸収してみてください。

フィードバック力向上研修の事例を以下に紹介しています。
3時間のオンライン研修で効果的にコミュニケーション能力を強化する

 

最後に
毎回、私のブログでは過去の有名人、著名人を言葉・格言を紹介して、終えています。今回はこちらの言葉を皆様にお送りします。

即戦力になるような人材なんて存在しない。だから育てるんだ。スティーブ・ジョブズ

 

本ブログでご紹介した内容の詳細は、以下までお問い合わせください。
お問い合わせ:https://www.quintegral.co.jp/contact/

 

筆者紹介

未来への道標 A guide to future

新里 幹彦(ニッサト ミキヒコ)
クインテグラル株式会社

長年、日系・外資系企業でのマネージャーとして活躍。2013年よりクインテグラルで、日本国内の内資・外資系の企業の経営陣や幹部、次世代リーダーの方々を対象に、リーダーシップの強化、マネジメントスキルの向上、グローバルコミュニケーションの強化など、人事コンサルタントとして様々な課題に取り組んでいる。最近では、これらの経験を活かし、トレーナーとしても活動を開始。

 


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クインテグラルでは、豊富なプログラムを数多くご用意しております。ビジネス経験豊かな講師のもと、みなさまのビジネスを更に加速させるお手伝いをいたします。すべてオンラインでの対応も可能なため、環境に応じた実施方法をご選択いただけます。

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AMAは、1923年にニューヨークで設立されたマネジメント研修の分野で世界を代表する国際教育研修機関です。世界において10万人以上の個人クライ アントと約1万社もの法人クライアントから高い評価を受けています。 グローバルナレッジマネジメントセンターは、2012年2月より、AMA (American Management Association)のサービスを国内で唯一提供する会社として設立され、2017年10月、アジアへのAMAサービス展開 に合わせ、社名をクインテグラル株式会社に変更いたしました。


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