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大人の成長:人は老いても成長できる
最初はクイズから
今回はクイズから始めてみましょう。フライパンとハンバーグのクイズです。ハンバーグの片面は5分で焼けます。フライパンにはハンバーグが2個しかのりません。3個のハンバーグを15分で焼くにはどうすれば良いでしょうか?
答えは、このブログをお読みいただいて、最後の方に記します。
アドラー心理学
ゴールデンウイーク中、遅ればせながらオーストリアの心理学者であるアルフレッド・アドラーについて勉強して、ある考え方に興味を持ちました。それは、「私」があることを「する」と決めたり、反対に「しない」と決めたりする場合、「私」の心のある部分は「したい」と思っているが、別の部分では「したくない」というような乖離は一切有り得ないという考え方です。「分かっちゃいるが、やめられない」という時、実はできない(cannot)のではなく、したくない(will not)のだということです。つまり、ある行為を選択した責任はその人あります。アドラー心理学は「そのままで良いよ」、「頑張らなくてもいいよ」ということを強調していると聞いたことがありますが、それは大きな誤解です。実は自らの責任を問う厳しい心理学です。ある最近の研究によると、食生活を改めたり、もっと運動したり、喫煙を止めたりしなければ、心臓病で死にますよと専門医から警告された時、実際にそのように自分を変えることができる人は、7人に1人に過ぎないとのことです。生活習慣を変えない6人(85%)は、家族や愛する人やペットと一緒に長く暮らしていたいかも知れません。しかしながら、自らの命にかかわる問題でさえ、変革、実行することは難しいのです。アドラー心理学を文字通りに適用するならば、これはその人の意思が弱い、欠如しているからなのでしょうか。究極的には6人は自分自身が死んでも仕方がないという選択をしているのでしょうか。私は少し違和感を覚えます。自分が心からやりたいと望んでいることと、実際に自分が実行できることに大きなギャップがあるのではないかと考えます。そのギャップの存在が、あらゆる決断・選択・実行に踏み切れない要因なのかも知れません。もし、そうであるのであれば、先ずはできることからやってみるのはいかがでしょうか。そうするとやりたいことやなりたい姿に近づくことができるかも知れません。このブログは人材開発に携わる企業のものですので、人材開発に関連付けて、私なりに考えた直ぐにでも実行できる3つのマインドセットを以下に紹介します。
マインドセット(1) 先ずは「大人(成人)も成長できる!」ことを信じる
年をとると脳の成長は止まると多くの人が信じているようです。1980年代くらいまでは多くの脳科学者たちもそのように言っていましたが、もはや変わりました。「脳の可塑性」が認められ、人間の脳は生涯に渡って適応を続ける能力が備わっていることが分かっています。脳のシナプスは衰えず、「老いても記憶は鍛えられる」と神経科学系の学会でも発表され、忽ち話題になりました。科学的にも認められているのですから、「自分は年だから、もう無理。」とか、「勉強しても、覚えられない」という、「嘘」に騙されないようにしましょう。年を重ねても成長できることを科学は証明しています。そのことを事実として受け止め理解し、信じてみませんか。そんな私も51歳になった昨年から大学に戻って、週末は多くの方々と共に勉強をしています。実に頭も心も充実しています。そう思うのは自分だけかも知れませんが、自分が自分の人生を歩んでいるので、それで良いと思っています。自分の成長を疑う思いが心に過る時、捨て去れば良いだけのはなしです。簡単ですね。
マインドセット(2) 言葉が自分の壁を破る
多くの人は不可能と思えることや壁にぶつかった時、できない理由や言い訳を探します。(私もそういう時があります)その時、その人の成長は止まるのではないでしょうか?人類の歴史は「できる」と考える人たちによって作られてきました。作家のパール・バックは「人は自分で無力だと考えない限り、無力ではない」と言いました。また、松下幸之助に「あなたの成功の秘訣は何ですか?」と質問したら、3つの回答が返ってきたそうです。「1つ目は貧しい家庭に生まれたこと。2つ目は学歴が無いこと(小学校中退)。そして、最後に身体が病弱であること」。普通でしたらこのような3条件(3重苦)が整っていたら、わが身の不幸を憐れみ、やけを起こし、真っ当な道は歩めないでしょう。松下幸之助はマイナスと見られる条件を、見事にプラスに変えた人です。どんな状況でも人は成長できることを教えてくれています。自分の前にそびえ立つ壁を破るのは自分なのです。皆さんにひとつの質問をします。今日、あなたが最初に聞いたのは誰の言葉でしょうか?正解は、自分の言葉です(「起きなさい!」という言葉はこの際無視して下さい)。人は常に自分で自分に語りかけている動物です。言葉には非常に大きな力が秘められています。人を生かすも、殺すも言葉次第です。私は毎朝、生きたポジティブな言葉を自分にかけてみます。起きて直ぐにスマホを見たり、テレビはつけたりしません。毒を入れるようなものです。先ずは自分との対話の時間を短く作ります。そして、寝る前には、今日は良くやった、頑張ったと自分を褒めます。そして感謝して、眠りにつきます。毎日続けていると、私の前にそびえ立つ壁は案外とガラガラと崩れ落ちてしまうものです。自分に言葉をかける。簡単に始められますので、お勧めします。
マインドセット(3) Unlearn(アンラーン)、Reskill(リスキル)・Upskill(アップスキル)
大人が成長するにはちょっとしたコツが必要かも知れません。人材開発の世界で数年前から話題に上る言葉にUnlearn(アンラーン)、Reskill(リスキル)・Upskill(アップスキル)と言われるものがあります。随分前はUnlearnのことを「学び壊し」と訳す人もいました。Learn(学ぶ)という単語に否定を意味するUnが付いているので、「学ばない」ということ?と誤解する方もいますが、そうではありません。今まで学んできたことを一度ゼロにし再び学び直す、そのような意味です。人間は過去の成功体験や積み重ねてきた経験、その中で培ってきた理論などを自分自身の思考の枠にハマりがちです。もし新たに何かを学び、自分のステージをさらにあげようとするときには、このUnlearnが必要です。何かを拳でグッと握るのではなく、Let them Go!と解き放つのです。そうすると、空っぽの手の中に、新しいものが入ってきます。これがReskill(リスキル)・Upskill(スキルアップと同じイメージです)に繋がります。Unlearnするには変なプライドを捨て、謙虚になることが重要です。若年の時は先輩に依存し従い、知性を獲得していきます。これを「環境順応型知性」といいます。やがて、リーダーになると自ら培った経験と知性でリーダーシップを発揮します。これを「自己主導型知性」といいます。そして、壮年になると客観性を発揮し、自分の考えや意見、つまり矛を収めることができるようになり、対立する考えも受け入れることが可能になります。この段階の知性をハーバード大学のロバート・キーガン教授は「自己変容型知性」といいました。キーガンは知性の質的変化を説明していますが、それぞれの段階は、その前の段階より明らかに優れていると言っています。知性が違えば、取る行動も違ってきます。いずれ私たちは最高位に位置する「自己変容型知性」を身につけて、最善の行動を起こしたいものです。
「私の経験からだと、〇〇と判断するけれど、新入社員のAさんはあのように言っている。実に面白い。是非、Aさんから話を聞いて学んでみよう」と言える人は、まさしく自己変容型知性を身につけており、Unlearn(アンラーン)、Reskill(リスキル)・Upskill(アップスキル)を実行している人です。謙虚になり、全ての人を師と仰ぐ。そんな人を目指したいですね。
クイズの答え
最初のクイズですが、そんなの無理、できっこないと考えませんでしたか?答えはこうです。- 2つのハンバーグを片面5分間焼く。
- 1つはそのままひっくり返す。もう1つは取り出し、代わりに新しいハンバーグを入れて5分焼く。
- 残りの2個の片面を5分間焼く。
不可能と思う時や壁ぶつかった時、インスピレーションを大切にし、固定概念に捕らわれなければ、大抵のことはできるのではないでしょうか。「私は成長しない」と言うことは、成長しないことを自分で決めてしまっています。ヨットは帆の張り方ひとつで、順風でも逆風でも前に向かって進むことができます。同じように、私たち大人の成長も、私たちの人生も、マインドセットひとつで変わり得るのです。
最後に:ゲーテの言葉
“Magic is believing in yourself, if you can do that, you can make anything happen.”
魔法とは自分を信じることだ、もしそれが出来れば何をするのも可能だ。
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AMAは、1923年にニューヨークで設立されたマネジメント研修の分野で世界を代表する国際教育研修機関です。世界において10万人以上の個人クライ アントと約1万社もの法人クライアントから高い評価を受けています。 グローバルナレッジマネジメントセンターは、2012年2月より、AMA (American Management Association)のサービスを国内で唯一提供する会社として設立され、2017年10月、アジアへのAMAサービス展開 に合わせ、社名をクインテグラル株式会社に変更いたしました。