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AIと人間、どっちが勝つの?

AI vs 人間

人間はAIに支配される
 ある晩のこと、小学校2年生の息子から突然の報告がありました。
「パパ知ってる?2045年に人間はAIに支配されるんだって!」

 私はすかさず「オジサンって魚がいるの知ってる?」と、聞き返したところ、「知ってるよ」とあっさりの返事でした、そこは、「ええ!そうなの?」ではないのかい?と心の中で軽くツッコミをいれつつ、続きを聞くことにしました。

 魚が大好きで、九九の七の段に悪戦苦闘中の息子曰く、これはTVからの情報のようです。「このままAIが発達していくと、人間の能力を上回り、人間がAIに支配されてしまう」とのことでした。心配しているというよりは、目をキラキラさせながら、どことなく楽しそうな様子でした。

 支配されてしまうというのは情報元の解釈だと思いますが、言わずと知れた2045年問題のことです。シンギュラリティ (技術的特異点) 、人工知能の性能が人類の知能を超えるのがおおよそ2045年あたりのようです。
今から23年後、8歳の息子は32歳になる頃です。AIに支配されている我が子を見たくない、いやまて、そもそも自分は生きているのだろうか?人類が支配されている状況で、老人達は生きていることを許されているのだろうか?好奇心旺盛の息子の前で、私の目は曇っていくばかりです。

 「人間はどうしたらいいの?」と息子からの質問に、老眼が進行した私の目は更に焦点を失っていきます。だんだん知らず知らずのうちに遠くを見てしまいました。遠視の私は遠くを見ると少し焦点が合ってきます。少し落ち着きを取り戻し、「どのように答えたら希望を与えられるのだろか」人類の父親代表のつもりで考えてみましたが、なかなか良い答えが見つかりません。苦し紛れに、「TVではなんて言っていた?」と、質問を質問で返してしまいました。

 「人類滅亡だってさ」なるほど・・・。どうやらTV番組ではAIに支配された人類は、滅亡するというストーリーだったようです。何度なく似たようなストーリーはSFの世界で描かれてきましたので、既知感からくる変な安心感を覚えたことは否めません。しかし、初めて知った小学生には重大事件です。これは真剣に考えなければなりません。なんとか無事に1999年の第一次人類滅亡の危機を免れた我々人類が、自らが作り出したAIに滅亡させられてはたまりません。目下DX人材、IT人材不足が言われる日本社会、日本経済に生きる我々が、どうやってAIによる滅亡を回避できるのか。次世代に我々が謳歌している人間社会の平和を維持してバトンを渡せるのでしょうか。

 「仲良くするしかないんじゃないか?」支配する側、される側の関係ではない関係を築いていくしかない。AIにはAIの得意なこと、人間には人間の得意なことを磨き、お互いが協力して共存できる社会にするしかない。なんとなくそのような話になっていきました。「人間が得意なことって何だろうか?」小学生にはまだまだ難しい質問で、「わからない」という回答でした。それをきちんと見つけて、次世代につないでいくのが我々大人の役割だと改めて感じました。

変わらぬ課題
 私は20年弱、組織課題・人材育成に関わってきました。20年前と今でも、我々人間が抱えている課題はそれほど大きくは変わらない印象を持っています。どのように信頼関係を築き、協働して、課題を解決し成長させていくか。また、そのスピードを上げていけるのか、というのが常に課題としてあります。ただ、世の中の価値観や考え方は大きく変わってきていて、多様な価値観をお互いに認め活かしていく方向に動いてきています。進化していく社会に、我々個々も、組織も変化して成長していく。それを諦めずに続けていくことが、より良い未来につながっていくと信じて進んでいきたいと思いました。

 専門家によっては、2045年にはまだまだAIが人間の知能を超えることはないとする方もいらっしゃるようです。どのような未来になっているかは分かりませんが、人材育成に携わる身としては、人間にしかできない領域を見極め、成長できる環境づくりに貢献していくことだと思います。

愛が勝つ
 最後に、「なんだかんだで、必ず最後はAIじゃなくて、人間の愛 (AI) が勝つんだよ!」と伝えたら、息子は、「ええええ!そうなの??」という反応でした。そこは、「そうだよね!」でいいんだぞ・・・AIだったらどのような反応をするのだろうか。

完 (KAN)

 

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筆者紹介

山田 琢 Taku Yamada
クインテグラル株式会社

グローバルな仕事に従事しながら、国および企業文化の違いによる組織力の差に興味を持つ。それ以来、より良い組織を作るにはどうしたら良いのか、そもそも良い組織とは何かを探し求め、組織開発ファシリテーター・コンサルタント、企業内人事などに従事し、2018年より現職。人材育成の領域から、より良い組織作りに貢献することを目指している。


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