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チェンジリーダーと感謝
はじめに
2023年の最後のブログです。皆さま、よくぞ、年末までたどり着かれました。大変お疲れさまでした。年末に寄せて、この数カ月私が考えたことを皆さまに共有したいと思います。
息子との会話
先日、就職を控える大学生の息子との会話が印象的でした。「最近は出社が増えているけれど、出社を強制する企業には行きたくないんだ。リモートワークがなければ駄目だというわけではなく、働き方にオプションがないと学生たちは敬遠すると思うんだ。それと、自分が成長できない会社も避けたいかな」と、生意気にも一丁前なことを言っていました。おそらく、多くの学生や社員も同じように感じているのではないでしょうか。
企業と社員のパワーバランス
一般的には、企業と社員の力関係が変化しているとされています。これまでの日本企業は人材を選ぶ立場にいました。今後は人材不足の中で、人が組織を選ぶ時代になってきています。人手不足や転職が増加する中で、主導権が従業員に移り、学生や転職希望者にとっては売り手市場です。
企業は社員の自律・自立を奨励しています。資本市場も人材を育てる企業に注目し、社員の「自立」が企業にとって新たな生き残りの条件です。同時に、そのこと自体が企業側にも問題を提起するようになっています。若手や中堅は、会社が求めるように自律・自立に向けて努力します。しかしながら、どんなに職場環境が良くても、成長機会がないことが分かれば、その会社には何の魅力もなくなってしまいます。
社員は生活の安定と引き換えに、異動や処遇で会社の支配を受け入れてきました。今では安定よりも自己成長を求める傾向が強まっています。スキルの習得が難しい会社からの脱出を図る社員も増加しており、人材を引き留めるために企業も新陳代謝を早める必要があります。先日アメリカ人講師も言っていましたが、「リスキリング」はアメリカでも重要なキーワードとのことです。人が向上心を持って、自ら学ぶことが奨励されています。
チェンジリーダー
以前は会社に貢献しても報われるのが数年後という状況でした。管理職になるのは早くても30代後半からで、同世代での評価は横並びです。この年功序列を基にした職場の「緩やかな時間」が転職を促進しています。このまま、この会社にいると社外で通用しなくなる不安から、居心地の良い会社を去ることを決断する社員が増えています。成長機会を提供できない企業は存続が難しくなります。
それではどうしたら良いのでしょうか。ジョブ型雇用の導入や仕事の内容で待遇を決める動きも増えています。また、社員自らがキャリアを磨く組織への転換には、マネージャーやリーダーの協力が不可欠です。マネジメント職も社員の支援技術を学び、意識改革が求められます。もう随分前から欧米ではチェンジリーダーの存在の重要性が叫ばれてきました。いよいよ日本でも、チェンジリーダーの育成に取り組む企業が増えています。
人的資本vs人を活かす経営
最近、あるグローバル企業の研修をサポートしました。社長ご自身が謙虚な姿勢で、リーダーシップや社員への期待を語られました。昼食も社員と一緒にされながら、社員一人一人の言葉に真剣に耳を傾けられていました。一流企業の社長になるほど、謙虚な姿勢が重要であることを痛感しました。
人的資本経営という言葉が広く使われるようになりました。これは会計学者が言い始めた言葉です。キャピタルは資本であり、モノ・カネです。キャピタルを通して、どれだけゲインがあったかを分析し、測定するかという、どちらかというと科学的・経済的な匂いがします。
前述の社長の印象は正反対でした。まさしく「人を活かす経営」の実践者です。社長の話し方には、丁寧で温かいものを感じました。社員の方には寄り添うように、話を聴かれていました。激動のコロナ禍を経験し、ビジネスはどん底まで落ちてしまいました。きっとV字回復するには「人」で乗り越える、「人」しかいないんだという哲学が社長にはあるのかもしれません。まさしく、チェンジリーダーそのものです。
この社長の姿を見て、リーダーシップには人格が不可欠であり、社員一人一人の意見や成長に真摯に向き合う姿勢が求められていることを再確認しました。
最後に
私どもも、2023年もさまざまな挑戦や変化がありましたが、皆さまのおかげで充実した一年となりました。そしてどれだけの「感謝」なことがあったことでしょう。嫌なこと、不幸なことを考えることは多いですが、この年末に静かに「感謝」をひとつずつ数えてみてはどうでしょうか。困難な中にも、確かな「感謝」なことはあったはずです。きっと幸せな温かい気持ちになれると思います。
来る年が皆さまにとっても素晴らしいものとなりますように、心よりお祈り申し上げます。どうぞ良いお年をお迎えください。
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