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何もしないことで加担していること
銀座の高級腕時計店の強盗
少し前の事件ですが、白昼堂々、銀座の時計店に覆面した黒い服装の数人が強盗に入り、ガラスケースをたたき割り逃走する一部始終の動画がテレビニュースで頻繁に流れるということがありました。私は、悪事は闇に紛れてコソコソと、人が居ない夜中などの時間帯に行われるものという思い込みがありましたので、映像を見て大変驚がくしたのを覚えております。犯人たちは逃走後に警察官により無事逮捕され、盗まれた時計も全品返還され、大きなけが人も出なかったことにほっとしました。
逮捕された男たちがほぼ10代の若者で、中には16歳の少年も加わっていたことで改めて驚きました。私がそれよりも驚いたのは、映像の中で、逃走しようとする犯人に対して、ガラス戸を閉めて抵抗している女性の姿でした。最初にその姿を見たときには素直に、「すごい人だな、やるなぁ」と感心してしまいました。どうしたら、あの場面で、とっさにあの行動がとれるのだろうかと、非常に興味を持ちました。
冷静になって考えると、凶器を持っている犯人たちに対して、ドア越しとはいえ、抵抗するというのは危険な行為です。自分や自分の家族であれば、まずは自身の身の安全を最優先にしてほしいと思ってしまいます。それがおそらく、私を含めて大勢の一般市民の思考ではないかと思います。犯人たちが事前に「どうせ周囲の人間は何もできない」あるいは、「少し脅せば何もしないだろう」といった想定をして、白昼堂々と犯行に及んだとしたら、この何もしないという私たちの行動が、犯行に加担したと言えるのかもしれないと考えてしまいます。
このような命の危険がある状況では致し方のないことなので、何もしないことが正解と思うものの、何もしないことで、悪事や自分の賛同できないことに知らず知らずに加担してしまっているという状況は、結構身の回りにあるのではないかと、自身の反省を含めて考えるきっかけとなりました。
投票することの意義
大きなところでは政治への参加などがあります。国政選挙の投票率は50%台、地方選挙は40%台です。全体の数字でそのくらいですので、地域によってはもっと低い所もあります。私の居住地域では常に30%台です。有権者の半数が投票しないことで、現在の政治は動いています。問題がなく運営できていれば良いのですが、連日の報道から、地方自治体、国会、外交、経済と問題だらけです。そのような状況でも与党は変わらず、指導者の顔ぶれもあまり変わらないで対応できていくのでしょうかと、少し心配になります。この状況は間違いなく、投票していない方々が加担している状況といえるのではないかと思います。
そんなことを考えている時に、毎日新聞のコラムで下記を読みました。白票についての記載だったのですが、上記のようなことを考えていた矢先だったので妙に納得してしまいました。
少し長いですが、以下抜粋します。
「いつも投票所には行くの。もちろん与党には入れないけど、野党もだらしないから入れない。だから、私は毎回白票なの」
自身で思いついた行動なのか、誰かの影響を受けたのか、わからない。以前から「白票でもいい、投票することに意義がある」という言説が広まっている。これが大きなうねりとなるなら、ある種のデモンストレーションのように、意思表示にはなるだろう。「自分の1票ぐらいで結果は変わらないから」と投票所にすら行かない人よりは何百倍もいい了見だとは思うが、ほとんど無意味な行動で、自己満足にしかならないのではないか。今の自民党の議員に「白票が多い、国民は怒っているようだ」と、まっとうな政治に切り替える者が果たして一人としているだろうか。
いつも言うことだが、選挙に白馬の王子様は現れない。消極的選択であっても、誰かに役目を担わせるためのプロセスだから、「こちらの方がまだましかな」という候補者に入れるしかない。「投票したい人がいないのです」ということは言い訳にはならない。
投票権を放棄するということは、自分の1票を無駄にするだけではなく、自分とは違う意見を持つ人が入れた1票の重さを増してやることになるのだ。当選結果は変わらない場合でも、白票と違い、接戦になれば「次の選挙が危ない」という自覚が出るので少しは謙虚になるだろう。
大事な投票の機会を放棄しておいて、紙の保険証廃止やら消費税やらインボイスやら裏金やら旧統一教会との関係やら重税感やら意味のない異次元の少子化対策やら物価高やら能登の復興そっちのけの「カジノ万博」やらに文句を言っている人は多いのではないか。その人たちが投票所に足を運ぶだけで、世の中の流れが相当変わるのに、長年飼い慣らされてしまったかのように悪い意味でおとなしい。
引用:毎日新聞 日曜版 松尾貴史のちょっと違和感 2024年3月31日
私は特定の政党や、この方の主張する内容について必ずしも全てに賛同するわけではないものの、何もしないで加担しているという認識を持つべきという点においては同感です。現状に満足しているのであれば良いのですが、もし現状を変えるべきということであれば、行動すべきと思いました。
企業内で何もしないことで加担していること
私たち社会人、企業などの組織で働く人や、特にマネージャーとして役割を持っているならなおさら、この何もしないで加担していることがないか、今一度振り返って考えてみることは有益と思います。
ハラスメントや人権侵害などの問題行動に対して、黙認してしまっていることはないか?
マネジメント行動の過不足や、方向性のズレ、部門間コンフリクトを放置していないか?
権力者の暴走やメンバーのサボタージュなど、見て見ぬふりをしていないか?
主従関係や上下関係など組織内ではいろいろなパワーが存在し、自身の生活への危険を伴うこともあり、過度に恐れてしまうことも多いと思います。とっさにドアを閉めたあの女性のように、ちょっとした行動をとることは可能なのかもしれないなと自分自身の今後の行動を振り返る機会にしたいと思います。
特に組織変革やチェンジマネジメント実行タイミングなどにおいては、何もしないというよりは、何をして良いかわからないということも多々あるので、必ずしも適切な行動がとれるとは限りません。知らず知らずのうちに、自分の意図とは違うことに加担してしまうということがないように注意が必要です。
コミュニケーションスキルやリーダシップ行動は学べるスキルです。何かしたいと思い立った時にはきっと役立ちますので、研修などの機会を多いに活用いただければと思います。どうせ加担するなら、積極的に自分の意図することに加担しましょう。
加担する者しか勝たん!
最後に
後日談としてあの女性のコメントが新聞記事になっていたのを見付けました。
「なんであんなことできたのかって聞かれても、目の前で犯罪が起きたら止めようとしませんか。とっさに体が動いたんです。せめて警察が来るまでは、犯人たちを店の中に閉じ込めようって……。でも、みんな写真や動画を撮っているだけで。店の前の通りにはあんなに人がいたのに……」
引用:デイリー新潮 2023年5月20日
この方の正義感、倫理観と勇気に敬意を表するとともに、無事であったことを心から喜びつつ、改めて自分自身の未熟さを痛感します。そして動画を撮っていた方も素晴らしい行動だと思います。それがこの事件を社会に周知し、抵抗する人の存在を見せつけ、今後も同じような犯罪を企てる人の抑止力にきっとなりますから。
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