BLOG

高さ15cmの新聞紙と共感力

高さ15cmの新聞紙と共感力

クリスマスツリー

早くも師走となり、2022年も終わりが近づいている。今は4年に一度のサッカーワールドカップが開催中で、我ら日本代表の歴史的勝利などもあり、例年とは少し違う雰囲気の師走となっている。わが家ではここ2年ほど、クリスマスツリーを飾ることがなかった。特に明確な理由があったわけではないのだが、ただなんとなくコロナ禍でそんな気分になれなかった。今年は11月中旬ごろには、3歳の娘にせがまれて、早々に飾り付けをすることになり、既にわが家のリビングはクリスマスの雰囲気が漂っている。

私が子供の時は、赤や緑や白の電飾が点滅するクリスマスツリーが大好きで、10月頃になると、早くクリスマスツリーを飾ってほしくて親に頼んでいたことを思い出す。さすがに10月は早すぎると親に反対されるのだが、どうせ飾るなら長い間飾ってほしいという気持ちが強かった。

クリスマスが過ぎると一気に年末年始という、和 (日本文化) の雰囲気になるのが、子供ごころにあまり好きではなかった。もちろん、冬休み、お正月、お年玉と、クリスマス以降の時間も大好きではあった。クリスマス、サンタクロース、というなんとなくメルヘンチックな西洋文化が、子供の私には非現実的な雰囲気に感じてとてもワクワクしたのである。当時は今とは違い、10月末のハロウィンが日本ではあまり知られておらず、子供が楽しめるエンターテインメントも決して多いとは言えなかったように思う。秋から冬に季節がうつり変わると、子供としての楽しみは、もうクリスマス一直線だったのである。少なくとも私にとってはそうだった。

娘が11月早々にクリスマスツリーを出してほしいと言ってきた時には、子供の時の気持ちがよみがえり、私は前のめりで準備をしてしまった。

昔の電飾は、色のついた豆電球を光らせていたので、足で踏んでしまったり、手でつぶしてしまったりと、よく割ってしまった。今はLED技術のおかげで、電飾は小さく壊れにくくなり、ものによっては1つの電飾で複数の色を表現して、本当にきれいなのだ。わが家のツリーの電飾も、赤と緑と黄色が、一瞬で白と青に変わって、また赤と緑と黄色にと、交互に表現が代わる優れモノだ。青色のLEDを生んでくれた日本技術者のイノベーションに心から感謝している。技術者の皆さんも、まさに青い侍なのだ。

高さ15cmの新聞紙

そんなわが家のきれいなツリーの横に、高さ15cm弱に積み上げられた灰色の紙の束が置いてある。家族には不評なのだが、2つ折りの状態で積んでいる古新聞の束である。夕刊紙だけで、そこそこの高さになり、また毎日すこしずつ高さが増し続けている。

新聞社によって夕刊のページ数に違いはあるのだろうが、わが家で購読している新聞の夕刊はだいたい毎日8ページである。大きく開けば新聞紙2枚で構成されている。真中で折られた冊子のような状態で紙面は作られているので、ページ数は8となる。それをまた半分に折った状態で束ねているので、夕刊1日分の高さは新聞紙8枚の厚みになり、1日あたり0.5ミリ強の高さになる。

束の一番下にだけ少し分厚い朝刊が置いてあり、日付は2022年2月25日(金)である。世界が衝撃を受けた2月24日の次の日の新聞で、そこから夕刊だけを重ねてきて15cm弱の高さになってしまった。日本からは遠い国で、毎日戦争被害にあっている一般市民がいることを、普段の生活ではどうしても忘れがちになってしまう。もちろん、今でも毎日テレビのニュースでは報道されない日はない。忘れているわけではないが、その苦難の日々を実感し難い。

初めは、戦争が終わるまでの日数は新聞を保管してみようという軽い気持ちで始めたのだが、物理的な高さが視覚的に認知されるようになる頃には、この積みあがっている高さ分、苦しい日々を送っている人たちがいることを感じるようになった。

何か役に立つことをしているわけではなく、勝手に感じているだけなので、至極傲慢 (ごうまん) で自己満足的で偽善的なのだ。しかし、物理的に存在する形あるものが、視覚的に常に目に入ってくることによって、少し感じ方が変わったのも事実であり、想像力が上がり、戦争の終結を祈る気持ちも強くなっていると感じている。これは単に私の収集癖がそうさせているに過ぎない稚拙な行動ではあるが、何かを想像するきっかけにはなっているのではないかと思う。

共感力

変化の時代、そして多様性のある社会において、リーダーシップを発揮するためには「共感力」が重要だと言われている。でもなかなか難しい。他者と喜怒哀楽を共有することが共感の定義のようだ。同じ体験、経験をしていれば、そこから発生する感情も共有できる確率は高くなる。

リーダーシップの文脈でいわれる、「共感力」には、必ずしも同じ体験、経験をしていなくても、相手の感情を理解する能力というようなニュアンスが含まれている。クインテグラルの提供する研修プログラムでは、共感力を養うためには、相手に関心を持ち、傾聴することを勧めており、具体的な傾聴ノウハウなどをお伝えしている。

想像力

それに追加して私は「想像力」も非常に大切だと思っている。いろいろな角度、状況、立場で1つのことを想像してみることを心がけている。いつまでたっても、「思い込み」の領域を出られないなと日々難しさは実感している。想像してみることを諦めず、忘れずに実行していくことが大切と思っている。

クリスマスも近づいてきているので、子供達には「サンタさんに何をもらいたいの?」と聞いている。3歳の娘は、お店でもらったおもちゃのカタログを指さしながら、「これと~」「これと~」「これと~」・・・
各ページにつき、3~4つの商品を指さして教えてくれた。「どれか1つでももらえたらいいね~」と答えておく。

9歳の息子は、「今は、特にこれと言って欲しいものはないので、僕が欲しそうな物をちょうだいって言う」とのこと。私は多少混乱して、「欲しいものはないのに、サンタさんはどうやって選ぶの?」と聞いてみた。「サンタさんは常に僕のことを見ているんでしょ。だったら僕が欲しそうなものも想像できるんじゃないの?」

そうなのである。今まで散々「悪い子でいたらサンタさんから何ももらえないよ!」とか、「そんなこと言っていたらサンタさんプレゼントくれないよ!」って言ってきたのである。子供は「どうしてそんなことサンタさんがわかるの?」って聞くものだから、「サンタさんは常に見ているんだよ!」と、確かに言っていた。しかも何度も何度も繰り返し言っていた。

子どもの成長は簡単に想像を超えてきやがるな、ふふっ。今年のサンタさんは、わが息子に、己の「想像力」を試されることになったのだが、はたして結果はどうなるのやら。サンタさんの大変さに多少共感できている自分がいるような気がする、思い込みかもしれないけども。

ウクライナのクリスマス

東京2020オリンピック競技大会で、ウクライナのホストタウンだった日野市のホームページに、ウクライナのクリスマスの過ごし方が紹介されていた。ウクライナではクリスマスが2回あるそうだ。12月25日はカトリック教会、1月7日は正教会のクリスマスとなっている。

これは、暦の違いからきている。正教会が使用するユリウス暦の12月25日は、一般の生活で使うカレンダーの1月7日になるためである。クリスマスまでに状況が変わらないのかもしれないが、少しでも早く平和な日々が戻ってくることを祈りたい。サンタさんにはぜひ、彼らが今欲しているものを想像して運んでいただきたいと思う。

来年は、人類が想像し得る限りの幸せがたくさんの人に降り注ぎますように・・・・

 

本ブログでご紹介した内容の詳細は、以下までお問い合わせください。
お問い合わせ:https://www.quintegral.co.jp/contact/

筆者紹介

山田 琢 Taku Yamada
クインテグラル株式会社

グローバルな仕事に従事しながら、国および企業文化の違いによる組織力の差に興味を持つ。それ以来、より良い組織を作るにはどうしたら良いのか、そもそも良い組織とは何かを探し求め、組織開発ファシリテーター・コンサルタント、企業内人事などに従事し、2018年より現職。人材育成の領域から、より良い組織作りに貢献することを目指している。


全プログラム オンライン対応

クインテグラルでは、豊富な研修プログラムを数多くご用意しております。ビジネス経験豊かな講師のもと、みなさまのビジネスを更に加速させるお手伝いをいたします。すべてオンラインでの対応も可能なため、環境に応じた実施方法をご選択いただけます。

プログラムラインナップはこちら

研修事例

・中外製薬株式会社 様
2009年より連続採用、延べ1,000人以上が受けた新任マネジャー研修

・サンワテクノス株式会社 様
企業理念を体現するグローバルリーダーをオンラインで育成 ~海外ビジネス拡大を目指して~

・横河電機株式会社 様
女性活躍推進で、目指すは風土改革

お問い合わせ・資料請求はこちら

月曜日 ~ 金曜日 9:00~17:30

休業日:土曜日・日曜日、 国民の祝日、年末年始休日 (12/29~1/4)