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今後、求められる能力「問題解決力」とは

今後、求められる能力「問題解決力」とは

私たちが提供している研修では、最後に受講者アンケートを行っています。その設問の1つに「これからの時代に、あなたが今まで以上に必要になると思う能力や知識はどれですか?」というのがあります。2022年約1万人の回答で1番多く選ばれたのが「問題解決力」でした。今回はこの「問題解決力」とは何か、どのように強化できるのかを考えていきます。

問題解決力とは

問題解決力は、問題を特定する能力とその問題を解決する能力の2つから成り立っています。さらに細分化すると、問題を特定する能力には、あるべき状態を描く能力と、あるべき状態と現状とのギャップを見つける能力に分けられます。解決する能力は、このギャップを埋めるための方法を作り出す能力と、その方法を実行する能力に分解できます。
問題とは「あるべき状態と現状の差」

問題を特定する能力

具体的な例で考えてみましょう。「雨漏りしている部屋」を使って問題解決力の例を見ていきます。

まず、「雨漏りしている部屋」を現状としたときに、問題を特定するには、あるべき状態とそのギャップを明確にする必要があります。ここでのあるべき状態が「雨が漏れていない天井」とすると、ギャップは雨が漏れている原因である「天井の隙間」です。

問題を特定する能力とは、このようなことをさまざまな状況で行える能力のことです。

問題を特定する難しさ

問題を特定する能力を強化する際のポイントは、問題が発生している状況に合わせて特定できるか否かです。

例えば、先述の雨漏りが、自宅の場合と遊びに行った友人の部屋だと「あるべき状態」の可能性が異なります。自宅で雨漏りしている場合は、使い続ける部屋なので「雨が漏れていない天井」があるべき状態です。遊びに行った友人の部屋は数時間しか滞在しないため、「漏れている雨でぬれない」があるべき状態の1つになります。ただし、友人にとっては、その部屋は使い続けるので「雨が漏れていない天井」があるべき状態となり、同じ状況でも、見る立場によってあるべき状態が異なります。

ステークホルダーの立場を理解したうえで問題を特定する重要性

さまざまなステークホルダーがそれぞれの目的や意図を持ち、1つの共通の目的のために協働をしていく職場では、問題の特定がさらに複雑になります。自分の立場だけではなく、ステークホルダーの立場を理解し問題を特定する必要があるからです。

雨漏りの例ですと、共通の目的・関心として「数時間を楽しく過ごす」としても、遊びに行った側とその部屋の住人とでは、「数時間を楽しく過ごす」ために埋めるべきギャップが異なるかもしれません。

遊びに行った人は「床がぬれないようにする」というのをギャップとし、バケツを持ってくるだけで良いと思うかもしれません。その部屋の住人は、夜寝るときに聞こえる雨漏りの音を想像し「天井の隙間を埋める」というのをギャップにし、すぐにでも修理を業者に頼みたいと思うかもしれません。

問題を特定するときには、共通の目的・関心を達成するために、立場によって異なる「ギャップ」があることを理解し、両方を考慮した問題 (あるべき状態と現状の差) を特定することが重要です。

問題を解決する能力

問題を解決する能力は、ギャップを埋めるための方法を作り出す能力と、その方法を実行する能力に分解できます。特別な場合を除き、問題の特定 (ギャップ) が明確にできていれば、ギャップを埋めるための方法を考えることは、そこまで難しくはありません。

一方、実行する能力は、解決する問題とそのギャップを埋めるための方法によって大きく異なります。特定の能力を強化すれば、すべての解決策を実行できるようになるわけではありません。その都度、必要な能力を学習するか、その能力を持っている人と協働することです。

雨漏りの例だと、もし解決策を「天井の隙間を埋める」とした場合、どこに隙間があるのかを特定し、その隙間を埋める素材を見つけ、実際に天井に付けるという作業が発生します。このような修理する能力を身につければ、解決できます。また、天井の修理を何度も行っている人を見つけてお願いすることも可能です。

問題解決力の強化に重要なことは

今回は雨漏りの例で説明しましたが、実際の職場では、もっと複雑で難易度の高い状況ばかりです。そのような状況で継続的に問題解決力を高めていくためには、常にあるべき状態を考えること、そして継続的にさまざまなステークホルダーの立場・視点に立って、ものごとを捉えることです。

新しい解決策を実行できるように、継続的に新しいスキルを身につけ、自分が持っていないスキルを持っている人たちと幅広くネットワークを構築していくことも重要です。

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筆者紹介
加藤洋平(Yohei Kato)
クインテグラル株式会社 取締役副社長

クインテグラルの前身であるAMAの日本支社に2008年に参加し、組織開発、グローバル人材育成、次世代リーダー育成、などさまざまな学習理論に基づき幅広いソリューションを構築、提供している。人の可能性を最大限開花させるお手伝いをすることをミッションとし、日々の業務と継続的な学習をおこなう。

 


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