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企業のための人工知能 (AI) 活用入門

世界中の企業が人工知能 (AI) を導入し、競争上の優位性を活用しようと躍起になっています。しかし、AMAの最近の調査によると、組織にAI戦略があると回答したのは、ごく一部の約17%でした。残りの83%の回答者の多くは、「AIが何の役に立つのか? どうやって始めるのか? AIがもたらす未来への大きな一歩を踏み出すために、どのような準備が必要なのか?」ということを疑問に思っています。

標準的な戦略というものはありませんが、AMAの専門家は、組織(およびその機能、部門、チーム)が自社のビジネス状況を定義し、AIがどのように役立つかを特定するのにマトリックスを考えました。このマトリックスでは、以下のように組織を4つの象限に分けています。

企業のための人工知能 (AI) 活用入門

縦のY軸は、組織の包括的なビジネス目標を表しています。上は成長を、下は効率を表しています。プロフィット・センターは成長に重点を置き、バックオフィス部門は効率を優先します。横のX軸では経営状況を表し、右が安定、左が変動を示しています。各象限に属する組織がAIからどのような恩恵を受けることができるかを解説します。

安定/効率 → 自動化

安定/効率 → 自動化

オペレーション業務、財務、ITなどは、効率性を追求し、安定した経営条件の下で運営されるビジネス部門です。このカテゴリーには、ソフトウェアやツールのベンダーも含まれます。この象限に属するビジネス部門は、自動化に注力することでAIを最大限に活用できます。

AIによる自動化は、ルーチンワークや反復的なプロセスの時間を劇的に短くし、コストを削減します。その結果、スタッフは、より価値の高い仕事に時間をさくことができます。多くの場合、AIは正確性と一貫性を向上させ、高度なデータ分析を支援します。

例えば、財務部門では、請求書からデータを抽出し、発注書と照合し、承認後に支払いを処理するAIツールを使用して、売掛金の処理を自動化できます。

安定/効率の象限に属するビジネス部門の主な活動には、AIツールの評価と選択、プロセスの更新、品質の評価、ツールの設定、回帰への対処(問題が発生した場合に、それを検出し、修正すること)などが含まれます。

変動/成長 → 新プロダクト

変動/成長 → 新プロダクト

プロダクト、顧客価値などを担うチームは成長を目標とし、ダイナミックなビジネス状況下で活動しています。これらのチームは、AIを使って新しい機能、製品、サービスを創造し、販売できるようになるかもしれません。例えば、ここ数十年の間に、ハイテク企業はAIを使って地図(グーグルやアップルのマップ)や写真機能(グーグルやアップルの写真アプリの画像検索やアルバム作成)を実現しました。

このチームの主な活動には、満たされていないユーザーニーズの特定、タスクに対応できるAIの設計、AIをシームレスに組み込んだユーザー体験の開発などが含まれます。このチームはまた、新しい機能をマーケティングし、ユーザーの利用を促進し、ビジネスモデルを更新して収益性を確保する必要があります。

変動/効率 → 洞察

変動/効率 → 洞察

データサイエンティストとアナリストは、変動する状況下での効率性に焦点を当てた象限の中にいます。これらの部門は、AIを活用して組織の斬新な意思決定の質と量を向上させます。例えば、ビジネス・インテリジェンスやインタラクティブな予測モデルなどが挙げられます。AI主導の予測モデルは、購買履歴、顧客とのやり取り、過去のマーケティング・キャンペーンに対する反応など、複雑なインプットの範囲に基づいて、顧客の生涯価値(LTV:ライフタイムバリュー)を推定できます。

このチームの主な活動には、データの整理、データベースの作成、新しいデータの統合、ビジュアライゼーション、API、ユーザー・エクスペリエンスの開発などがあります。

安定/成長 → アーキテクチャ

安定/成長 → アーキテクチャ

最後に、ビジネスが安定した状況での成長は、システム・アーキテクトやデータベース・エンジニア、データセンター・エンジニアの領域です。彼らの目標は、企業の顧客、プロセス、成長をサポートするシステムを構築することです。企業のデータに基づいて学習させた独自のモデルが、顧客向けのアウトプットを作成します。例えば、通信会社のシステム・アーキテクトは、AIを使って各顧客のデータ使用量を分析し、顧客のコスト効率を最適化した個別のデータプランの開発モデルを作成できます。

このような機会を活用するために、これらのチームは、優先順位と商品ニーズを区別し、独自のシステムを設計・開発し、ユーザーの受け入れとサポートを行い、システムを保守・改良し、将来の状態に備えます。

まとめ

大切なことは、組織やチームによってAI導入のプロセスはそれぞれ異なり、ビジネスの状況や目標によっても異なることを認識しておくことです。このマトリックスが示唆するように、企業内であっても、チームが異なれば、AIがどのように自分たちのニーズに応えることができるかを自ら判断する必要があります。画一的なアプローチは逆効果です。最適化に重点を置くチームに適した戦略を、研究開発に重点を置くチームに適用すれば、摩擦が生じ、価値を提供できなくなります。

*本記事は米国AMA (American Management Association) で配信されたものを、許諾を得て掲載しています。

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