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人工知能 (AI) をビジネスに活用するための6つのステップ

人工知能 (AI)

人工知能 (AI) はビジネス界に旋風を巻き起こしています。一夜にして、数多くのアプリやプラットフォームがAI搭載を訴求するようになりました。食器洗い機でさえAIを使っています。この変化はあまりにも突然に起こったため、多くの企業がAI戦略を欠き*1、AI活用に積極的な競合他社に遅れをとっています。

そのため、世界中の経営者や管理職は、AIをどのように活用すべきなのかと頭を悩ませています。これらの新しい技術で対応できるニーズは何でしょうか。

*1:米国AMAの2023年の調査では、多くの企業でAI戦略がなく、AI活用のために従業員に教育を実施せず、ガバナンスが機能していないことが分かりました。調査の詳細は、こちらからダウンロードできます。
日本語版 人工知能(AI)ブーム、企業はまだ準備ができていない
英語版 Artificial Intelligence (AI) Is Booming, But Companies Are Not Ready

もちろん、これらの質問に対する答えは簡単ではありません。AIをうまく活用するための単純な方法はありません。AIがどのように役立つかは、業界や企業、そしてチームの責任範囲によって大きく異なります。

米国AMA (American Management Association) の専門家は、AIを活用することで何ができるかを正確に把握するために、以下の6つのステップを紹介しています。最初の3つのステップは、AIが適しているかどうかを判断するためのもので、後半の3つは、どのAI技術が適切かを見極めるためのものです。

ステップ1 情報を処理しようとしているかを判断する

AIは何でもできるわけではありません。残念ながら、10代の子供に部屋を片付けさせたり、雪の中で朝6時に犬を散歩させたりするアプリはまだありません。

AIが得意とするのは、主に大量の情報を処理し、洞察を生み出すことです。人間にとっては、過度に負担がかかったり、退屈だったりする作業をAIは迅速かつ容易に処理できます。例えば、AIはビジネスの取引記録からトレンドを見つけ出し、不正検知、在庫管理、顧客セグメンテーション、パーソナライズマーケティングを可能にします。

ステップ2 どのようなアウトプットが必要なのかを明確にする

言い換えると、どのような問題を解決しようとしているかです。求めるアウトプットを明確にすることで、必要なAIソリューションの種類や生成された洞察をどのように活用するかを判断できます。可能性は多岐にわたります。

例えば、銀行業では、膨大な顧客データをAIが分析し、アルゴリズムが特定したトレンドに基づいて、どの顧客がローンを返済できなくなる可能性が高いかを予測できます。

ステップ3 AIのアウトプットがどのように使用されるかを特定する

アウトプットの使用方法を特定することで、そのアプリケーションに伴うリスクとメリットが分かります。以前のブログで、ある航空会社がチャットボットを通じて顧客に誤った情報を提供し、ビリーブメント運賃 (近親者の危篤または不幸の際に利用できる特別運賃) に関して罰金を科せられた事例を紹介しました。

AIを活用したチャットボットによって、人手を減らしてコスト効率を高めたり、年中無休24時間対応の迅速なサービスで顧客体験を向上させたりできます。同時に、航空会社はAIアルゴリズムの誤りによるリスクを負うことにもなります。航空会社にとって、このようなリスクは受け入れられるかもしれません。しかし、アウトプットが医療や金融の意思決定に使われる場合、その影響ははるかに深刻なものとなるでしょう。

ステップ4 情報のモダリティ (形式や種類) を定義する

ここではやや技術的になりますが、洞察を得たいデータのモダリティ (形式や種類) を理解することで、使用できるAIモデルの種類を判断できます。画像、未整理のテキスト、表形式のデータ (Excelファイルやデータベースに見られる形式) など、データの種類によって異なるモデルが存在します。

モダリティを定義することで、AIがデータを処理する前にどのようにデータを準備する必要があるかなど、他の技術的要件も特定できます。例えば、音声データはスペクトログラムに変換する必要があり、画像データはサイズ変更や正規化が求められることがあります。

ステップ5 作成しようとしているアウトプットを明確にする

インプットがAIソリューションの設計に影響を与えるように、アウトプットも同様に重要です。例えば、目的がメンテナンスの必要性を予測すること、大量のテキストを要約すること、または特定の顧客に対して過去の購入履歴に基づいて好みの製品を推奨することなどです。各ユースケースに応じて、使用するAIモデルの種類が異なります。

ステップ6 アウトプット後に提供するフィードバックを決定する

一部のAIモデルは自己学習を行いますが、他のモデルはフィードバックを通じて改善されます。例えば、ユーザーがレコメンドされた動画の特定の種類のものを視聴し、別のものを無視した場合、レコメンデーションを支えるAIモデルは、このフィードバックから学習します。これを教師あり学習と呼び、特に分類を伴うアプリケーションで有効です。

一方で、教師なし学習と呼ばれるAIソリューションは、完全に自律的に学習できます。一例をあげると、教師なし学習は、サイバー攻撃の兆候となる異常なネットワーク活動を検知します。

 

AIがどのようにビジネスに役立つかを判断するのは、最初は難しいかもしれませんが、多くのタスクと同様に、管理可能なコンポーネントに分割することで、適切な解決策を見つけやすくなります。これらの6つのステップに取り組むことで、ITチームとAIの可能性について議論しやすくなり、この急速に変化するテクノロジーのメリットをビジネスで確実に活用できます。

*本記事は米国AMA (American Management Association) で配信されたものを、許諾を得て掲載しています。

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