次世代幹部候補研修事例 株式会社両備システムズ

全社を巻き込んだ次世代幹部候補の育成「事業がわかる、事業をつくる人」

  • 事業計画
  • 次世代リーダー育成
  • 戦略
  • 中堅社員
  • ハイポテンシャル

株式会社両備システムズ
経営推進本部 総務・人財統括部 人財戦略部 部長 三宅 生子様

株式会社両備システムズは、次世代幹部候補を「事業がわかる、事業をつくる人」に育成するためにクインテグラルの研修を採用されています。9カ月にわたる研修期間中、チームプロジェクトとして、全社を巻き込んで事業計画書を作成する様子やその成果についてお伺いしました。

会社概要

社名:株式会社両備システムズ
事業概要:公共、医療、社会保障分野および民間企業向け情報サービスの提供、データセンター事業、ネットワーク構築サービス、セキュリティ事業、ハードウェア販売および保守サービス、AI・IoTなど先端技術研究開発
URL:https://www.ryobi.co.jp

事例概要

次世代幹部候補研修の概要
事業とは何かを知るための第一歩
研修概要
事業がわかる、事業をつくる人を育成
6社合併
公共ビジネスから民間領域へ
人財戦略の基本コンセプト「未来を創る人をつくる」
全社を巻き込んで実施
20人の関係者からヒアリング
部長をオブザーバーに
上司と作成する能力開発計画
経営層と各カンパニーからの支援
次世代幹部候補研修の成果
広がる視野と人脈
チームとして仕事ができる人
両備システムズグループ行動指針と合致
次世代幹部候補研修の課題
事業のビジョンや思い
今後の目標
計画的な人材育成
手挙げ文化の醸成
クインテグラルへの評価
講師、内容ともに質が高い
研修立案の伴走者

次世代幹部候補研修の概要

次世代幹部候補研修を開始されたきっかけは、何ですか。

そもそも若い世代から事業を考える機会をつくりたい、という思いがあり、一部のカンパニーで事業計画書を作成する研修を行っていました。これを全社展開することになり、「次世代幹部候補研修」として内容など全面的に見直しをしました。クインテグラルに実施を依頼して今年で3年目です。

次世代幹部候補研修はどのような内容ですか。

事業とは何かを知るための第一歩

本研修の目的は、事業とは何かを知るための第一歩として、事業計画書の内容を理解し、作成できる人を育成することです。新規事業提案を求めているのではありません。あくまで育成の一貫として位置づけ、既にある事業計画書を見て、「ここに矛盾がある、この視点が抜けている」とか「こんな展開方法もある、この事業はもっと可能性がある」と考えられるようになってほしいと思っています。

対象者は管理職手前のリーダー層で、選出方法は各カンパニーからの推薦と立候補です。研修期間は約9カ月。クインテグラルの研修で学んだことを基に、チームプロジェクトとして4~5人のメンバーで事業計画を作成します。メンバーは異なるカンパニーで構成され、勤務地も岡山や東京など異なります。プロジェクトはオンラインで進めていきます。

事業計画のテーマは、全カンパニー長からテーマ案 (新規、既存含めて各カンパニーの商品やサービス) を出してもらいます。テーマ選定の条件は、チームメンバー全員が自身の担当業務に関係ないものを選ぶことです。

研修概要

期間:9カ月
対象者:管理職を目指すリーダー
形式:オンライン研修

青字の項目はクインテグラル提供・実施

1カ月目 キックオフ
個別課題
アセスメント
協働的リーダシップ(2日)
2カ月目 アセスメント振り返りワークショップ (0.25日) チームプロジェクト オリエンテーション(0.25日)
テーマ説明会
3カ月目 クリティカルシンキング問題解決 (1日)*
能力計画書提出
プロジェクトのテーマ選定
4カ月目 ストラテジックプランニング (2日) チームプロジェクト進行
5カ月目 VUCA時代に描くビジネスストーリー(1日) チームプロジェクト1次報告会
6カ月目 振り返りワークショップ+プレゼンテーション構成力 (1日) チームプロジェクト進行
7カ月目 能力計画書 改定版提出 チームプロジェクト2次報告会
8カ月目 講師によるレビューセッション (1日) チームプロジェクト最終報告会
9カ月目 ラップアップセッション (0.5日)
能力計画書結果提出
研修後の行動計画提出

クリティカルシンキング (1日) 問題解決/意思決定 (2日) コースから抜粋し、1日で実施

 

事業がわかる、事業をつくる人を育成

なぜ、事業計画書の作成に焦点を当てられているのですか。

6社合併

事業計画を作成するためには、商品やサービス内容の理解以前に、外部環境や技術・販売戦略から人財戦略まで多岐に渡る視点やスキルが必要となります。管理職になる前から、そのような情報に触れ、考え方を身につけてほしいためです。

弊社は、2020年に関連会社6社を合併しました。ビジネス企画を進める中で、旧各社によって事業計画書の作成方法が異なり、作成に関与する人の職位も異なるため、事業計画書作成スキルの底上げが課題となっていました。このような背景もあり、本研修を通じて、世の中の理論やフレームワークをしっかりと学んで、技術者を含め職種に関係なく若いうちから事業計画を作成できるようになってほしいと考えました。

公共ビジネスから民間領域へ

弊社の主軸ビジネスの一つは、官公庁向けのサービスです。国が進めている自治体システム標準化への取組みを加速させる一方で、別のビジネスを創出する必要があります。そこで、事業領域を広げて、民間のビジネスにも注力し、新たな商品戦略・開発戦略・販売戦略をたて、ビジネスモデルの転換を図らなければなりません。

人財戦略の基本コンセプト「未来を創る人をつくる」

弊社の人財戦略の基本コンセプトとして、「未来を創る人をつくる」を掲げています。研修で事業計画の作成シミュレーションをとおして、組織運営の一端を担う経験を積んで、次世代の幹部候補としての自覚をもつことを期待しています。

社員の大半はシステムエンジニアです。往々にして、エンジニアは技術には関心を持ちますが、事業についてはあまり関心を持たない傾向にあります。事業計画を特定の部門や上位の役職者だけが考えるのではなく、若いうちから職種に関係なく「事業がわかる、事業をつくる人」を育成したいと考えています。

全社を巻き込んで実施

研修期間中、チームプロジェクトはどのような形で進めていらっしゃいますか。

20人の関係者からヒアリング

メンバー全員が、チームプロジェクトで選んだテーマについての知識がほぼありません。事業計画を作成するために、該当のカンパニー長や部・課長をはじめ、営業や業務リーダーにヒアリングをするところから始まります。チームによっては、関連会社にもヒアリングをします。あるチームでは、20人の関係者から話を聞いたそうです。

プロジェクトのテーマ設定で、架空のものを取り上げることもできますが、それでは研修参加者は「研修」という意識を持ってしまいます。上司など周りの社員たちも、深く関与するのが難しくなります。実際の事業をテーマとして選び、さまざまな人を巻き込んでプロジェクトを進めていきます。これが本研修の醍醐味 (だいごみ) ですね。

部長をオブザーバーに

各チームに、チームメンバーたちと関わりのない部長クラスをオブザーバーとしてつけています。オブサーバーは、事業計画書のレビューやアドバイスをします。オブサーバーという第三者の視点を受けながら、事業計画書を作成していきます。

上司と作成する能力開発計画

チームプロジェクトとは別に、各自で能力開発計画を作成します。コンピテンシーアセスメントを活用した360度フィードバックのデータを基に、上司と面談しながら能力開発計画を作成します。研修参加者は、各研修終了後、学んだことやチームプロジェクトの進捗状況を上司に報告しているため、上司も研修に沿った適切なフィードバックができます。

どうすれば、このように全社を巻き込んで研修を実施できるのですか。

経営層と各カンパニーからの支援

経営層や各カンパニーの支援を受けなければ達成できない仕組みをつくっているからだと思います。研修の最初のキックオフのときには代表取締役COOより、次世代幹部候補を育成するための研修であることをはっきりと伝えてもらっています。また、先述のとおり、チームプロジェクトのテーマは架空の事業ではなく、全カンパニー長から提案していただきます。こうすることで、周りの関係者の協力を得やすくしています。

次世代幹部候補研修の成果

研修の成果として、どのようなことが挙げられますか。

広がる視野と人脈

クインテグラルの研修について、参加者から「リーダシップや影響力などヒューマンスキルから始まり、事業計画を作成するための基礎的な知識を体系的に習得でき、今後の業務でも役立てる」という声があがっています。このインプットを中心とした研修と並行して、さまざまな人を巻き込んでチームプロジェクトを進めていきます。これまで関わりのなかった人との交流で視野を広げることができ、人脈も広がっていきます。チームメンバーは異なるカンパニーで構成されているため、チーム内においても刺激を受けます。

カンパニーによっては、合併前は別会社だったところもあり、仕事のやり方や組織文化が異なることがあります。ここでも新たな発見があると思います。その他、事業で使われているIT技術や顧客とその業界などについても知見を深めることができます。

チームとして仕事ができる人

数カ月間、多くの人の協力を得ながらチームで事業計画を作成します。弊社で求めるのは、チームとして仕事ができる人です。この点も研修で養われていると思います。

両備システムズグループ行動指針と合致

本研修は、両備システムズグループ行動指針「Ryobi Systems Group Way」に沿ったものになっています。事業計画を考える上で、行動指針の会社像「社会へ価値あるサービスを提供し、社会に必要とされ、顧客と共に成長し続ける」は必須のものです。チームプロジェクトで、行動指針のチーム像と人財像も養うことができています。

  • 会社像「社会へ価値あるサービスを提供し、社会に必要とされ、顧客と共に成長し続ける」会社
  • チーム像「チーム全員が互いに理解・尊重・助け合い・成長しながら、新たな価値を創造し続ける」チーム
  • 人財像「両備グループの一員としての誇り・思いやりを持ち、広い視野・高い視点で、変革に挑戦している」人財

次世代幹部候補研修の課題

次世代幹部候補研修の課題をお聞かせください。

事業のビジョンや思い

昨年、プロジェクトの最終報告会に参加した経営層から、「よく勉強しているし、フレームワークも活用して良いが、事業計画にビジョンや思いがあまり感じられない」という声がありました。事業計画から、どのような未来があるのか、何のためにやるのか、その思いが伝わってこないとのことです。

研修参加者は現状分析に時間をかけてしまい、事業の先にある未来についてまで、あまり考えられていないことが原因と思われます。そこで、今年は研修プログラムの一部を見直して、「VUCA時代に描くビジネスストーリー」研修を採用しました。この研修は、経済や社会情勢を勘案して、どのような未来になるかを描いていくものです。今年の報告会では、事業のビジョンや思いを発表してくれることを期待しています。

今後の目標

今後の目標をお聞かせください。

計画的な人材育成

事業を継続していくために、事業を考えることができる人は多い方が良いです。本研修の対象者の前後の層に対するプログラムも充実させ、経営幹部となる人材をもっと計画的に育成していきたいと考えています。この次世代幹部候補研修は、そのための第一歩です。

手挙げ文化の醸成

研修は全社員に案内しています。できるだけ多くの機会を提供して、社員一人一人が自ら選択して、さまざまな経験を積んでキャリアを形成していってほしいです。自分で選ばないと主体性は生まれてきませんから。研修だけでなく、部署異動なども手挙げ式の文化が浸透すれば良いと考えています。

クインテグラルへの評価

クインテグラルについて、お聞かせください。

講師、内容ともに質が高い

弊社は、数社の研修会社を採用しています。クインテグラルの研修は、講師、内容ともに非常に質が高いですね。研修参加者から「今まで受けた中で一番面白かった。内容の密度が濃いと感じた」という声も上がっているほどです。本研修は、いくつかのコースで構成されています。各コースが単発に終わるのではなく、各々がつながって一連のものとなっています。講師は、豊富な実務経験に裏打ちされた確かなものを感じます。

研修立案の伴走者

また、研修プログラムを一緒に考えていただけるのもありがたいですね。伴走してくれる人がいるのは、心強いです。次世代幹部候補研修以外についてもご相談しています。

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